ランプ
ワイルドブルーヨコハマに伝わるおはなし
<その2>
オールド ラム ファクトリー
ランプ

島の入江の片隅にある
水の滑り台 オールド ラム ファクトリーは
その名の示すとおり
むかしはラム酒工場だった。

もともと島にあった大きな砂糖工場に
海賊たちが目をつけて
自分たちの利益のために
ラム酒工場に改造してしまったのだ。

しかし 海賊たちが去り
平和になった島には必要のなくなった
ラム酒工場は
むかしの繁栄が まるでいっときの幻想のように
すっかり錆ついてしまった。

ただ、いまでも
砂糖きびを潰すための大きな風車が
ときおり吹く潮風により
ピストンをまわす歯車とともに
寂しげな音を立てて
ゆっくりと回っている。

かつてこの島にも訪れた機械文明は
ある日その進歩を止めて
ながい時の流れを逆行し、消滅した。

そんなオールドラムファクトリーも
いまでは最高の遊び場所として
おとなもこども夢中で楽しんでいる。

その光景は
島の人々や島を訪れる私たちに
物欲や進歩ではない「本当に大切なもの」を
語りかけているかのようである。

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<その1>ボーヴの滝
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